2013年1月27日(日) 雲竜渓谷
滝尾神社8:53→林道ゲート9:24→稲荷川展望台10:10→洞門岩10:35→雲竜渓谷入口11:08(小休憩)→雲竜渓谷11:23(散策)→雲竜渓谷入口11:53(昼食休憩)12:15→林道コース→洞門岩12:43→稲荷川展望台12:59→林道ゲート13:28→滝尾神社14:02 累積標高差+685m-740m(時計の高度計による計測) 「氷瀑」 2006年秋に趣味として山歩きを始めるまでは別世界の事だと思っていた「氷瀑」なる存在。 宮崎で始めた山歩きであるが、宮崎にも氷瀑は存在した。それは霧島連山の大幡山の直下にあり膳棚と呼ばれる場所であるが、 ここは山歩き初心者の私にはハードルが高すぎて当時は近づくことが出来なかった。 従って私にとって初めての氷瀑は福岡に移ってから行った宝満山にある難所ヶ滝である。※この写真は2008年1月4日に撮影したものです。 ここは毎年氷瀑が出来ると新聞やテレビのニュースでも報道される福岡ではかなりメジャーな場所である。 そして近畿に戻って来てからは、金剛山の二の滝や第六堰堤、六甲山の百閒滝・似位滝・七曲滝など毎シーズン楽しみに出掛けて行っていた。 しかし今回行ってきた雲竜渓谷の氷瀑群は圧巻の別次元の世界だった。 この場所は山と渓谷の2011年2月号に紹介されてから人気が加速してこの時期は多くの登山者が訪れると聞く。 しかしFFノーマルタイヤ車でのアプローチは難しく、今回も電車とタクシーを利用して行く事にした。 早朝5:34の東京メトロ東西線に乗り日本橋で銀座線に乗り換えて浅草へ、ここで東武線浅草駅始発の東武快速に乗り東武日光駅まで合計約3時間の行程である。 色々調べたが、千葉から電車で日光へ行くのにはこれが一番早く着く便である。 同じ東武快速に乗るにしても北千住で乗り換える手もあったのだが、確実に座るには始発駅がいいだろうと浅草まで回りこんで6:20発の東武日光行きの快速に乗り込んだ。同じ様な登山者の姿も結構見かけたが、狙い通りゆったりと席を確保できた。 ここから電車に揺られて東武日光駅まで約2時間である。席さえ確保できれば外の景色を眺めながらのんびり出来るのは電車の最大の利点である。 夜明け前のスカイツリーを車窓から・・・・ しかし関東は本当に広いのだが交通網が発達しており、千葉→東京→埼玉→群馬→栃木と5県を跨っての電車の旅で特急を使わずとも3時間、1,550円で行けてしまうから驚きだ。 埼玉県に入り、車窓を眺めていると越谷辺りで朝日に輝く富士山がくっきりと見えていてこれだけでも得した気分だった。 電車は更に群馬に入り、栃木へと進むと白くなった日光連山も姿を現してきた。 新幹線の2時間は退屈に感じるが、普通快速電車の旅は長い様でも外の景色を眺めていると退屈せずあっと言う間に下今市に到着し、 ここで電車の切り離しを行って、前の4両は鬼怒川方面へ向かい更には会津まで行く。後ろの2両はそのまま終点の日光へと向かう。 東武日光駅には8時半前に到着し、タクシー乗り場へと急ぐとスタッドレスタイヤの後輪に更にチェーンを巻いたタクシーが3台停まっており一番乗りでタクシーに乗車する。 雲竜渓谷のゲートまでと告げると、今日は朝の6時過ぎに一組送ったが凄い車でUターンが出来ないのでゲートまでは行けないと言われる。 仕方ないので行ける所まで行ってもらう。朝はかなり冷え込んだようで普通の道路も凍結しており暫く走ってから日光東照宮の手前を右折すると完全な圧雪路である。 なるほどFRのタクシーではスタッドレスだけでは難しいのでタイヤチェーンも巻いている筈である。この装備で道そのものはゲートまで行けるらしいのだが、 登山者の気持が分からないでもないが何せ路上駐車のマナーが酷く、退避帯も塞がれて対向もままならずゲートまで送るとUターンも出来ずとてもじゃないがすぐには帰れないそうだ。 と言うことで滝尾神社から少しだけ進んだところで降ろされた。料金は1500円で少しお釣りが来た程度、ゲートまで行くと2000円は超えるらしい。 チップを弾めばゲートまで行ってくれたかも??これは試してないので不明である。帰りのことを考えて電話番号の入ったチラシを貰う。 タクシーを降りて衣服調整とスパッツを着ける。マイカーで来ていた方々もここに駐車し歩いていかれたが皆さん既にアイゼンを装着されているので私もここでアイゼンを装着。 準備を整えていざ出発。ここからは長い長い林道歩きであるが、言われたとおり隙あらば路上駐車で、上まで行ったが駐車スペースが無くて戻ってきた車と、登っていく車で大変な状況。 30分ほどの林道歩きで漸くゲートまで来たが、ゲート付近の駐車スペースは2台~3台と聞いていたが、凄い事になっていた。これではタクシーはUターン出来ない筈だ。 さてここからも延々と林道歩きなのだが、このゲートのところで林道が分岐している。登山ポストも見晴台の表示も真っ直ぐ(右側)の林道にあり紛らわしい。 この地図の前にも車が駐車されていて写真が斜めからになったが、現在地(駐車スペース2~3台と書いてある)から真っ直ぐ進むのは、夏季シーズンの堰堤ハイキングコースで 地形図で確認すると、霧降高原の方にも抜けられる様であるが、この道は間違いである。強行突破も出来ない事は無いらしいが、 沢登ルートなのでルートファイディング技術と12本爪アイゼンにピッケルなどの雪山装備は必須との事なので行かない方が賢明。実際かなり進んでから引き返して1時間以上のロスと言う話も聞く。 だいたい山と高原地図(2011年)にはルートも記載されておらず、地形図しか当てに出来ない。しかも更新されていない25000分の1地形図と、最新のウォッちずでも若干違いがあり ウォッちずが一番判り易い。今日はこれで助けられた。印刷してきて良かった。(クリックで拡大可) 大きく蛇行した九十九折れの林道を登っていく。 九十九折れのヘアピンカーブをミラーを使って写して見た。自然と自分撮りになってしまうが・・。 延々と続く林道。関係者(地元ガイド含む)は先程のゲートを開けてこの先の洞門岩まで車で入れるらしい。 この辺りは携帯のアンテナ状況が悪く、殆ど圏外なので、繋がるポイントには看板があった。 この大きなコンクリート製防護壁が見えてくると展望台は近い。 稲荷川展望台に到着。望遠鏡まで設置されていてベンチとテーブルも設置されている。 地形図で示すとこの様な感じである。基本林道歩きなのであるが、ゲートの分岐同様にこの先にも間違い易い分岐があるので示しておく。 有名な砂防堰堤なのでその為の道があるので要注意。(クリックで拡大可) 展望台から見える景色がこれである。雲に隠れているが左側が女峰山で右側が赤薙山でその間のコルの下に雲竜瀑がある。まだまだ遠い。 手前の広大な砂防ダムが日本一大きい日向砂防ダム。総事業費43億6千万、流域面積は東京ドーム124個分と書いてあった。 計画貯砂量10トンダンプ21万5千台て書かれてもピンと来ない。 この渓谷が日光火山群の中でも最も荒廃が著しい急流河川であり、過去大きな土石流被害があり国宝日光東照宮を守る為に建設されたものらしい。 先程の地形図で間違い易い分岐と記した場所にある字が読めない地図。これが余計に混乱を招くらしい。下に下る道は間違いで、林道を真っ直ぐに進む。 そしてやっと洞門岩に到着。滝尾神社から1時間40分の林道歩きであったが、ここに関係者の車が2台停まっていた。地元ガイドを雇えばこの反則技が使えるのか? ここからは沢コースとまだまだ続く林道コースの2つのルートがあるが、安全第一で行くのなら林道を。沢コースは踏み跡がなければ非常に判り難い上に、 結構危険な渡渉が何度もある。私は林道歩きに飽きたので迷わず沢コースを選択したが、ここの渡渉はデンジャラスだった。 洞門岩の下を覗くと早くも氷瀑が見える。金剛山のもみじ谷第六堰堤を超えるほどの規模で一人テンションを上げるが誰も見向きもしない。本番はどんなに凄いのか? ハッキリとした足跡があり安心したが、確かに何も無ければどこを歩けばよいかサッパリ判らないだろう。 最初の渡渉ポイント。水の流れが激しく、流れの中にストックを入れると簡単に流されるのでストックを突く時にも注意が必要である。 水量も多いので、岩も沈んでいて完全防水の登山靴でないとこのルートの渡渉は無理である。(この先何度と無く渡渉ポイントが出てくる) この辺りでも岩肌に氷柱が出来ているが、この程度の氷柱に嬉々として写真を撮っている人も私くらい? もう一度渡渉をした後、堰堤がある為に一旦沢を外れて巻き道に入る。 見上げると青空に霧氷が映える。綺麗だ。 この先の堰堤を右側から巻いて越えていった所が雲竜渓谷の入口である。 そして今回最大のデンジャラス渡渉ポイント。夏なら何と言うことは無いのかもしれないが、深い急流でここは慎重に渡りきった。 ここを渡ったあと急な巻き道を息を弾ませて登る。 登り切るといよいよ雲竜渓谷の入渓口である。沢山の方が休憩中であった。 テントが二張りあったが、これは関係者の物であった。 ここまで丁度2時間15分。殆どが林道歩きだったので一度も休憩せずに来た、クライマックスを前にここで小休憩をする。目の前に女峰山が聳えてその下に渓谷美が綺麗である。 チャイミルクティーと井村屋のスポーツ羊羹を一切れ食べて栄養補給をする。 これは秋の防災シーズンにスーパーで販売されていてその際に購入したのだが、疲れたときにには即効性のある栄養食である。 さていよいよ入渓であるが、急な階段なのだが階段は雪の下に埋まっていて手摺りに掴り慎重に下った。 渓谷に降り立ち進んで行くと先の方で氷瀑群が早くおいでと呼んでいるが、帰られる方が行き交い渡渉ポイントで待たされてしまう。 漸く順番が来て慎重に渡渉すると氷のカーテンが出迎えている。しかし足元はアイスブリッジの箇所もあり踏み抜いて穴が開いている所もあるので足元には気を遣う。 アイスクライミング中のクライマーが注目を浴びている。 アイスクライマーの横をすり抜けてから振り返る。 いよいよ友知らずと呼ばれる核心部分に踏み込む。 氷柱の神殿と形容されるこの部分は圧倒的な迫力である。 中に入って見る。山と渓谷の表紙に使われていた場所である。氷柱の間に落差100mを超える雲竜滝を入れてみる。点にしか見えないがクライマーが挑んでいるのが写っている。 氷瀑の中から見るのは初めてであるが、青白い氷柱が見事である。 抜け出すときは、氷柱が落ちて来る場合もあるので慎重に安全を確かめて出た。雲竜滝が大迫力で迫ってくる。クライマーはもうすぐ半分の所に達しそうだ。 振り返った角度からも見事である。 しかしここで問題発生!左側のアイゼンの前側を固定している樹脂の部分が破損して外れてしまった。このアイゼンは今日で3回目の使用なのだが何たる事か! これでは雲竜滝の真下までは行けない。滝壺の所に行くのには手前の氷瀑をクライムするか高巻きするしかないので、アイスクライムは無理なので高巻きするのだが 高巻きのルートも結構厳しく、最低でも10本爪以上のアイゼンが必要で出来ればピッケルも有った方が安全と言う事である。そう言えばピッケル持参の方が多い。 残念ながら今日は雲竜滝の真下に行くのは諦めるしかない。目一杯ズームで雲竜滝の下側を撮影するだけにして置こう。 それにしても今日はそこかしこでアイスクライミングをしている方が多い。 それでは名残惜しいが戻ることにしよう。最後に氷柱の神殿、氷柱のグランドキャニオンを何枚か撮影する。 ここは結構な斜度なので片足アイゼンでは厳しく、手摺に掴りストックを突いて何とか登りきった。 この上のテントが張ってあった場所で昼食休憩とする。朝から握ってきたおにぎり2個とカップヌードルの簡単な昼食を済ませて12:15に下山を開始する。 アイゼンが片足しかないので遠回りになるのだが林道を歩いて戻る。まぁデンジャラスな渡渉をしなくていいので下りには林道歩きも有りだと思う。 今日は持参していなかったが、林道を下るときにはヒップ橇があれば楽しみながら時間短縮が出来たと思う。 それと林道歩きの副産物として青空に映える赤薙山の景色が眺められたのは怪我の功名であった。 林道は雪が深く、ノーアイゼンで雪を蹴散らすように歩いて30分弱で洞門岩の所に戻ってきた。 ここから先も長い長い林道歩きである。 結構飛ばし気味に下ったので洞門岩から50分弱でゲートの所に戻ってきた。これはゲートの内側から撮影したのだが、シルバーのワンボックスがゲートの前に駐車されていて 関係者の白いワゴン車が外に出る事が出来なくなっている。 車内を覗いて見たが、関係者と思しき方は諦めてシートを倒して寝ておられた。こんな事が続くとシーズン中は林道乗り入れ禁止になるのも時間の問題ではないだろうか? ゲートから下も道のりは長く、タクシーを呼べる滝尾神社まで滑りやすいアイスバーンの林道をノーアイゼンで慎重に歩いた。また車も通るので車にも注意である。 滝尾神社に着いてタクシー会社に電話をした。すぐに回しますとの事で本当に10分足らずでタクシーが到着。朝乗せてもらった同じ運転手の方で、 楽しく会話をしながら東武日光駅まで送っていただいた。帰りの料金は1800円程掛かった。振り返ると女峰山は雲に隠れてしまっていた。 帰りは特急スペーシアに乗って帰る。全席指定で特急料金が1400円である。まずは14:48の下今市行き普通列車に乗って2駅先の下今市で特急に乗り換えるのだ。 下今市で少し待ち時間があったがホームにスペーシアが滑り込んできた。 この特急スペーシアは新幹線よりもいいシートでとても快適であった。そして電車でのお楽しみはこれである。 渋滞知らずの電車でウトウトしながらの快適な列車の旅、途中で双耳峰の筑波山が良く見えていたので何とか撮影する。 今日も充実した一日であった。
by hawks-oh-muku
| 2013-01-31 22:49
| 栃木の山
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Comments(2)
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段平
at 2013-02-01 08:59
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穴のあくほど拝見しました。
凄い所があるんですね~、圧倒的な美しさ。 電車の運賃も案外安いんですね、関西の私鉄はやたら高いような?。 林道の車ですが、関東にもいてるのですねぇ迷惑駐車の人。
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hawks-oh-muku at 2013-02-02 07:24
段平様おはようございます。
本当に日本には知らないだけで凄いところがあると実感しました。 しかし雲竜渓谷までは殆ど林道歩きなので退屈なのが残念ですが・・ 年々人気が出てきているようで、平日でも駐車するには6時前でなければ無理だそうです。 車で行けばどこかには駐車しなければならないので悪気は無いのでしょうが、 余りにも多いのでどうしようもない状態になってしまっています。 電車料金は関東圏は安いです。JRの一駅140円。地下鉄160円もそうですが、 JRと私鉄・地下鉄が相互乗り入れや競合状態にあるので競争原理で安いのだと思います。 便利で安い電車は混雑さえなければ最強で、首都圏では車は不要と言われています。
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