ミチノクコザクラ咲く百沢の岩木山

2015年6月22日(月)岩木山
百沢スキー場9:07→登山口9:15→七曲9:23→カラスの休場9:45→鼻コクリ9:58→姥石10:13→焼止まりヒュッテ11:35→(雪渓の坊主ころがし)→種蒔苗代13:16→鳳鳴ヒュッテ13:29(昼食休憩)→岩木山頂14:04→鳳鳴ヒュッテ14:30→種蒔苗代14:38→焼止まりヒュッテ15:19→姥石16:08→鼻コクリ16:17→カラスの休場16:24→七曲16:41→登山口16:47→百沢スキー場16:54
累積標高差+-1,320m

津軽平野のどこからでも見える津軽富士岩木山。毎日見ていても飽きない本当に美しい山容であるが、前回はスカイラインを使って8合目からのなんんちゃって岩木山であった。しかしあれが足慣らしとなり、その後いくつかの山に登って少しは脚力も戻って来たので、標高差1300mを超える長丁場の百沢から岩木山に登る事にしたのだ。しかしこの時期まで引っ張ったのはもう一つ理由が有る。そう6月下旬から咲きだすミチノクコザクラが狙いである。サクラソウであるが、これは咲く場所により固有種があり、有名なのはハクサンコザクラで、これは谷川岳で見た事が有る。そして地元奈良県の大峰に咲くオオミネコザクラもそうであるが、これはまだ見た事がない。そしてこの岩木山の特産種ミチノクコザクラを是非とも見てみたいとこの時期を狙っていたのである。

本来この登山道の正式ルートは岩木山神社からのルートであるが、少しでも時間短縮をしようと百沢スキー場から登る事にした。当然この時期のスキー場は営業していないので駐車場も閉鎖されていて、何とか下の方に停めるスペースが有りそこに駐車し登り始める。
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スキー場の中に登山口の案内が出ている。
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そしてこの奥に登山口があった。
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ここを進むと沢までフタリシズカが咲く中を一旦下って行く。
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下りきって沢を渡る。
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ここからはいきなりの急登となり、慣れていない身体が悲鳴を上げるがこの急登は長くは続かない。尾根に出ると七曲の指導標がある。(この山頂まで3時間半と言うのは雪渓がない時期の話で、このあと苦戦するのである。)
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この先の登山道は津軽出身の作家太宰治の小説「津軽」で十二単の様だと形容した優雅に裾野を伸ばした岩木山の裾から登っているので緩やかで長い距離を徐々に高度を上げて行く感じである。ミズナラの自然林の中の単調な感じの登山道であるが、ヤマオダマキが丁度見頃の様でそこかしこで咲いている。
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歩き始めて約40分(登山口からは30分)でカラスの休場を通過。
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この先で涸れ沢の橋を渡る。
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鼻コクリの指導標があるが、名前の由来やも不明であるが、特に何が有るわけでもなく通過するだけである。
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登山口から約1時間で姥石に到着。ここで小休憩。
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ここからの登山道はえぐれている所が有る細い道で、木や草が両脇から迫って身長184cmの私の丁度顔にあたる高さで非常に歩きにくい。
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その上ヤマオダマキやその他にも花が一杯咲いていて、そのたびに立ち止まって写真を撮るので思いのほか時間がかかる。これはカラマツソウ
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コケイランも咲いていた。
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そしてハクサンチドリ
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ベニバナイチヤクソウもハクサンチドリと一緒に咲いていた。
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ヨウラクツツジも目につきだした。
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この登山道は焼止まで殆ど展望はないとの事であったが、やがて弘前方面が見通せる場所に出てきた。しかし雲に隠れて展望はイマイチである。
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ここまでの登山道は火山である事を思わせない感じであったが、次第に大きな石が出てきて火山帯らしくなってきた。
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そしてズダヤクシュも固まって咲いていた。
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やがて沢を横切るが、ここも少し前の時期であれば雪渓になっている場所らしい。この沢を渡ると焼止まりヒュッテはすぐそこである。
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ここまで急登も少しあったものの全体的にはなだらかな山裾をじわじわと高度を稼いできた感じであるが登山口に書いてあった焼止まりヒュッテまで2時間半のコースタイム通りでようやくたどり着いた。
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しかし登り始めの時間が遅かった事もあり時間は11時半を超えておりお腹も空いて来たので万が一の時の為にザックに忍ばせている長期保存可能な「えいようかん」を1本かじって、ここからの雪渓に備える。休憩がてら中を覗かせて頂く。3段ベッドになっていて6人の宿泊が可能なようだ。
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ここにも山頂直下の鳳鳴ヒュッテと同じく、御嶽山の噴火事故以降に設置された思われる対策用品が衣装ケースに収納されていた。
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ここで少し長めの休憩を摂った後、少し歩くと滝の様な大きな沢音が聞こえてきてこのルートのハイライトである大沢に到着しここからは沢登となる。
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しかし7月下旬まで雪渓となっており、そのまま少し歩いてみたがアイゼンが必要と判断しすぐにアイゼンを装着。
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情報では軽アイゼンが必要との事であったが、谷川岳に登った時に軽アイゼンでは気休め程度でズリズリ滑ってあまり役に立たなかった経験があるので10本爪のアイゼンを持ってきた。結果的にこれが正解ですこぶる快適に登る事ができた。しかし所々下から水音が聞こえるスノーブリッジなので踏み抜きには要注意である。一番危険だったのはこの箇所。
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周りを観察し真ん中をストックで確かめながら歩いてのだが、最後の所で右足を抜いたとたんに踏み抜いてドキッとした。しかし体重がすでに前に出ていたので間一髪セーフ。この先も油断は禁物である。ここからはサクサクと登って行く。右側に夏道が少し出ている所で白い花が群生しているので近付いてみるとハクサンイチゲである。
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ここからガスが出てきて急に不安になりながらガシガシと登って行く・
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雪渓に入るまで暑くて大汗を掻いていたのだが、雪渓には涼しい風が通りぬけ気持がよい。ひと際強い風が吹くとガスも流されて青空も覗くが、急傾斜が際立ってふうふう言いながら高度を稼ぐ。
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ここで先行者に追い着いた。この方はアイゼンを持ってこなかったらしく、キックステップでかなり大変そうであった。少し気がひけたが横を10本爪の安心感でサクサクと追い抜かせて頂いた。このルートは少なくとも軽アイゼンは必須である。少し登って振り返るとガスの合間から弘前方面がチラリと覗いている。追い抜いた登山者とは結構さがついてしまった。
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この先もガスが出たり消えたりしながら高度を稼いで行くが、坊主ころがしと呼ばれる急傾斜の大沢が続く。
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10本爪のアイゼンは大袈裟かと思ったが、この選択は大正解で疲れもなく安心感がケタ違いである。
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ガスで先が見通せないが、徐々に沢筋が狭くなってきて雪渓歩きも終わりが近い事を感じる。
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雪が消えた沢筋にはショウジョウバカマの群生が目につきだす。
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そして今日の大本命であるミチノクコザクラも出てきた。
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雪が融けた所から咲きだすので場所を変えながら7月一杯まで楽しめるとの事であるが、本当にこの花の場所から少しで雪渓の切れ目に到達した。しかし長い急登の雪渓歩きであり、雪渓入口から時間にして1時間10分を要した。
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ここの左側(右岸)がお花畑になっており、ミチノクコザクラとハクサンチドリのピンクや紫とミヤマキンバイの黄色が入り混じっている。
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と言う訳で時間もないのにうろうろと散策し、10分程費やしてしまった。再び沢に戻り雪の消えた急な登山道を6分程登りつめると種蒔苗代に到着である。
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ここが最も早くミチノクコザクラが咲きだすポイントであり、ここもお花畑になっている。
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ここでも少し散策し、13:29に漸く大館鳳鳴ヒュッテに到着。ここまで約4時間20分掛かった事になる。
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ここから山頂まで往復1時間ほど掛かる。昼食も含めて考えると15時を過ぎてしまう。下山には急いでも3時間は掛かるだろう。途中でもし何かあったなら非常に危険な状況である。などと思案し山頂は諦めて下山する事も視野に入れる。と言う事でここで昼食を摂る事にした。お腹も空いて大急ぎでおりおにぎりを2個頬張りながら考えを巡らせる。車での道中に聞いていたラジオで今日は夏至であり日の出は4時8分、日の入りは19時15分と言っていたのを思い出す。ここまで来て山頂を諦めるのも勿体ないので、ヒュッテの中にザックをデポして空身で山頂往復をする事に決めた。それであればゆっくりは出来ない。15分程の昼食休憩でデジカメと水だけの空身になって急登を上がる。
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しかしこの登りは空身でも4時間半登って来た足には堪える急登である。それでも岩場の隙間に咲き誇っているミヤマキンバイに癒されながら一歩一歩足を進める。
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振り返ると先ほどおにぎりを食った鳳鳴ヒュッテが随分と小さく見える。
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ここを登り切ると一旦鞍部になっていよいよ山頂への登りが始まる。
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息を切らせながら登り詰めて14:04漸く山頂に到達した。
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途中での昼食を含む休憩時間も含めてだが約5時間を要したロングルートであった。
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山頂にはスカイライン駐車場の8合目からリフトも使えるので結構な人で賑わっていた。
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山頂付近はガスは切れているものの下から雲が湧いてくる状況であった。
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しかし嬉しい景色も用意されていた。日本海側にはきれいな雲海が広がっていたのである。
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山でここまで綺麗な雲海を見るのは久し振りである。日本海は見えなかったが代わりに雲海が見られるとはやっぱり登ってきて正解だった。しかし時間がないので急いで下山にかかる急な岩場を慎重に降りて14時半に鳳鳴ヒュッテに到着し、デポしたザックを担いで下山を急ぐ。種蒔苗代の雪渓はノーアイゼンで滑り下り振り返って別れを告げる。
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そしてここが雪渓の始まり、アイゼンを装着し足を踏み入れる。
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すぐにガスが出てきて真っ白な中に突入していく。
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アイゼンを効かせながら下って行くがまるでスキー場の様な急傾斜である。
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しかしこの雪渓は夏場には沢であり、今も下に水が流れているので油断はできない。こんな所に落ちたら終わりだろう。
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この雪渓は登りに1時間以上を費やしたが下りでは40分弱で下り終えて焼止まりヒュッテに15時19分に戻ってきた。
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ここで小休憩をして下山を急ぐ。姥石を16時8分に通過。
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鼻コクリを16:18分通過。
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カラスの休場を16:24に通過。
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下りは時間優先で下って来たがここで安全ラインまで降りてこられたのでペースを落として花観賞の余裕も出てきた。今が見ごろのヤマオダマキを別角度から撮影する。
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七曲指導標には16:41。ここから急な下りになる。
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沢を渡れば登山口はすごそこだ。
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何とか17時前に登山口に戻ってきた。
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今日は約10km、8時間弱の山歩きであった。標高差1300m越えも久し振りで疲労困憊である。今日の反省はやはり登り始めの時間が遅かった事。山頂まで3時間半から余裕を見て4時間と考えていたのだが、5時間を要し下山は時間との勝負となってしまった。今の時期は日が長いので何とかなったが、本来は15時までに下山完了する計画にするのが原則である。この登山ルートを計画される際には、雪渓の状況を踏まえながら余裕をもった計画をされる事をお勧めする。さて帰りは温泉に直行しゆっくりと汗を流した。青森県は実は温泉天国で、人口当たりの公衆浴場の数は全国一だそうだ。私の自宅近くにも3件の温泉が有る、青森の温泉の特徴は、いわゆる銭湯スタイルでシャンプーやボディソープなどの備え付けはなく各自持参が必須である。しかし温泉の泉質は抜群で、しかも源泉かけ流しがスタンダードである。(但し源泉の温度が50度以上と高く、適温の為に加水している)そして料金が320円とか400円とかで驚きの安さなのである。さらに営業時間が朝5時・6時から開いていて閉店も23時とかあり得ないほど嬉しい設定なのである。

by hawks-oh-muku | 2015-06-22 21:37 | みちのくの山 | Trackback | Comments(2)
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Commented by TY at 2016-04-10 14:08 x
はじめまして。
鼻コクリというのは、「鼻をこするほどの急斜面」という意味です。実際はそうでもないかもしれません笑

高校の山岳部で習いました。
Commented by hawks-oh-muku at 2016-04-10 22:12
TY様コメントを頂き有難うございます。
そうだったのですね。
確かにそんなに急斜面でもなかったのですし、特に特徴が有る場所でもなかった様に記憶しています。
岩木山は毎日眺めていますが(冬の間は姿を見せてくれませんが・・・)
今は真っ白な頂きから、黒くなって行く姿が本当に季節を感じる事が出来る
信仰の山だと実感します。今の時期に嶽コースから登って見たく思いますが、最近は仕事が忙しく
果たせそうにありません。
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