アケボノツツジとシャクナゲが咲き乱れる馬ノ鞍峰

5/14(金) 馬ノ鞍峰 三之公登山口8:40→明神滝分岐9:11→かくし平9:46→三之公行宮址9:59→稜線10:29→1073P10:42→馬ノ鞍峰11:14(昼食休憩)12:00→稜線分岐12:35→尊義親王御墓12:53→かくし平13:01→明神滝分岐13:24→明神滝13:27→三之公登山口14:05
累積標高差+-770m


今日は昨年から行きたかった台高山脈最奥部と言われる馬ノ鞍峰に行ってきた。この山は台高縦走をされるなど台高に詳しい方はご存知だろうが一般的に余り知られている山ではないと思う。私自身も昨年春に近畿に戻ってきて山と渓谷社の新分県登山ガイド「奈良県の山」を読んで初めて知った山である。何故この山に登りたいと思ったのかと言うと前述の登山ガイドを読んでみてアケボノツツジとシャクナゲが美しい山と書いてあり、私の好きなアケボノツツジを是非見てみたいと思ったからである。私は九州宮崎に単身赴任している時に山歩きを始めたが、まだ登り始めて間もない2007年の春に尾鈴山に登った時にアケボノツツジを初めて見た。山深い所に人知れず咲いているピンク色の美しい花に大いに感動し忽ちこの花が好きになったのである。しかし宮崎から福岡に転勤になりアケボノツツジの咲く山は遠くなりそれ以来出会えていない。昨年は5/11に登る予定で出かけたが大迫ダムの所で三之公林道通行止めの案内が出ていて敢無く断念しただけに今日は1年越しのリベンジと言う事になる。天気予報では近畿北部は雲が多く所により時雨れるが、南部は青空が広がると嬉しい内容であるが気温は相変わらず低くあまり上昇しないとの事である。自宅を6時半に出発し吉野方面へ向かう。169号線を南下し大迫ダムを左折し入之波(しおのは)温泉を過ぎて橋(入之波大橋)を渡る。(この橋は最大12トンの重量制限あり)
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更に奥まで進んで行くと北股出合となりここを左折し橋を渡る。ここからは細い道であるが舗装はされている。すぐに左側に鉄橋が見えて来るがここは見送ってそのまま直進する。
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途中砂利の採取場がありその区間だけ未舗装路であるが数百メートルの短い距離で問題はない。ここを過ぎると舗装された林道となるが道は細く、落石や木の枝が道路上にあり慎重にゆっくりと進む。
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やがて鉄橋の様な橋を渡った所で右側にV字型の鋭角に曲がった分岐が出てくるのでここを右折である。と言っても切り返しをしないと曲がれない鋭角カーブである。写真は切り返して振り返った所である。写真右の鉄橋方面から走ってきて写真左の方へ進む。
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鋭角に右折する所には見落としそうであるが一応案内が出ている。
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暫く進むと左側にトガサワラ原始林の案内板がある。昭和4年に国指定天然記念物になっているトガサワラ原始林は生きた植物化石で大変貴重なものの様である。
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ガイド本などによるとこの先に未舗装区間があるとなっていたが、きれいに舗装されておりかつて未舗装区間だった所が一番走りやすかった。やがて民家の様な建物が見えて来てそこを過ぎるとガイド本に載っていたバイオトイレがあった。
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このすぐ先が林道終点で7~8台ほど停められる駐車スペースになっており、その横の階段が登山口である。
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着いてみると和歌山ナンバーのランクルが1台だけ停まっていて私一人ではなかったと少し安心した。登山口には山ノ神の祠があった。さすが林業の村らしく1本杉の祠である。
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準備を整えて8:40に登山開始である。登山口には気になる看板が「遭難捜索費100万200万あなた持ち」
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この辺りは原生林の森なのでむやみに入り込むと痛い目に遭うと言う戒めであろうが、表現がストレートで金額を出すあたりはいかにも関西の山らしい。ここはかくし平登山口となっており、川上村のHPでは明神滝や三之公行宮址までの森林浴を楽しむハイキングコースとして紹介されている。ハイキング気分で奥まで入って行って遭難するケースが多いのかもしれないが、山馴れたベテランの方でも道迷いで一晩ピバーグし翌日に自力で下山したとの話も聞くので気を引き締めて登って行く。かくし平まではハイキングコースとして紹介されているだけあって、危険なところは木橋が整備されている。
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登り始めて5分ほどでシャクナゲの花が1本だけ咲いていた、この先が楽しみである。
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最初のうちは植林になっているが、間伐が行き届いていて下まで陽が差して明るい。さすが500年も前から植林が始まった林業の村である。片手間の林業ではなく村の主力産業なので良く手が入っている。
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15分足らずで分岐がある。誰かがマジックの手書きで「下に降りないほうが良い。山ノ神の頭への道は殆ど無い。かなり厳しい、行かない方が無難H20/3/9」と書いてある。そもそも今日は馬ノ鞍峰への往復ピストンで山の神の頭へ周回する気は毛頭ないがやはり道迷いには注意が必要な地形なのだろう。
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木橋が次々出てくるが、崩れ落ちている部分もあって、この場所は途中手前の木橋が落ちており滑って登り難かった。
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9:11明神滝の分岐に到着。ほぼコースタイム通りである。明神滝へは帰りに寄る事にして先へ進む。
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この辺りはムシカリ(オオカメノキ)の白い花が沢山咲いていた。
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所々で小さい流れの谷を木橋で横切るが、岩場にヒメレンゲの黄色い花を見つけた。沢山咲いている。
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水の流れている谷を見上げると新緑が眩しい。
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沢沿いを登って行くが、谷は深く所々遠くに滝が見える。2段か3段になった大きな滝は間近で見てみたいと思うが容易に近寄れそうなルートはない。
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この滝のところは大きく巻いていく様に道が付けられているので少し急な登りである。
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かくし平には9:46に到着。写真を撮りながらのゆっくりペースで登山口から約1時間である。ベンチがあるが苔がビッシリと生えている事から殆ど利用されていないのだろう。ここで少しだけ休憩を摂って先へ進む。
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10分足らずで三之公行宮址に到着。
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ここを過ぎると一旦涸れ沢に下りて尊義親王御墓の案内を見て進む。
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この先が少し判り難い場所で、御墓へ行く道は登山ルートから外れた所にあってそこで行き止まりである。川上村の整備したハイキングコースも尊義親王御墓へ行く所までである。(ちなみに地形図の登山道もここで終わりになっている。)ハイキングコースは馬ノ鞍峰に行く事は想定していないのでそのまま進むと御墓に行ってしまう。注意して周りを見渡すと、涸れ沢を渡った向こう側に目印が見えるので涸れ沢を渡るのが正解である。
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渡ったところにある案内目印。
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ここから沢は二俣に分かれて行くが真ん中の尾根に目印がありここを上がる。
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この辺りからは目印が頼りで地形図を見ても非常に判り難い場所である。地形図で確認すると沢の上部は二俣どころか蜘蛛の巣状に谷と尾根が広がっていて現在地の特定は容易ではない。但し踏み跡はハッキリしているので良く見て進めば問題ないか。(赤線はイメージでGPS軌跡ではありませんので不正確です)
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稜線が見えてくる手前は急斜面で直登は厳しくジグザクに登山道が付けられている。
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息を弾ませて登り切ると稜線に出て大きなブナの大木が出迎えてくれる。
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「山頂まで40分から50分頑張りまっしょい。ニセピークあり」の案内が出ていた。
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再度地形図を確認するとニセピークとは地形図1073Pの事だろうか。この辺りが標高950mで暫くはなだらかな稜線歩きが続きそうである。しかし稜線に出たとたん風が強く吹き抜けて5月中旬だというのにとても寒い。おまけに霧雨まで降ってきた。
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痩せてナイフリッジの様な稜線を10分少し歩くと本日のお目当てアケボノツツジのお出ましである。3年ぶりの再会で本当に嬉しい。
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時期的にはもう遅いので本当ならもう散っていても仕方が無い所であるが、今年の低温のせいで開花が遅れたのだろう。しかし足元を見ると散った花びらも多く、アケボノツツジの絨毯の様でこれも良かった。
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ここからはアケボノツツジのオンパレードで、中々前へ進まない。
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シャクナゲとアケボノツツジの競演も。これを見たさにこの山に来たようなものなので小躍りしたい気持ちである。
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アケボノツツジに押され気味だったがシャクナゲだって負けてはいない。
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何枚も写真を撮りながらヒメシャラとトウヒの林立するナイフリッジを進む。
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やがて傾斜がキツクなりアケボノツツジとシャクナゲの咲き乱れる中を進み登り詰めるといきなり三角点が目の前に現れた。
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本当にピークの天辺に設置された三角点である。
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南側に伸びる稜線は山の神の頭に続き、最終的に大台ケ原に至る縦走路である。
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反対側の北方面は池小屋山から高見山へと続く長い縦走路である。
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馬ノ鞍峰を示す山頂表示は無く、小さな私製のプレートが一枚だけぶら下がっていた。
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狭い山頂で食事をするスペースも限られる。少し池小屋山側に降りた平らなスペースで昼食休憩である。久々の肉うどんを作って食べる。
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しかし今日は寒い。ウィンドブレーカーを着込んでも寒く、耳が痛いくらいでザックから冬用のフリースのニットキャップをすっぽりと被ると幾分寒さも和らいだ。食後のコーヒーも淹れてゆっくりとする。
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12時になり下山を開始する。道迷いは下りの時に起こり易い。支尾根に入り込まないように注意して下る。登りにも写真を沢山撮ったのにアケボノツツジとシャクナゲを見ると名残惜しくてまたまた写真を撮ってしまう。
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支尾根に入り込みそうな間違い易い場所にはテープが巻いてくれている。登りの時には何でここにテープが沢山あるのか不思議な場所だったが、下りのときにテープの意味が分かる場所もあったりして周りを良く観察しながら降りていく。花ばかり見ていたり、漫然と歩いていたりすると道迷いの可能性があるので目印は見落とし厳禁である。
1073Pからは白鬚岳が見えていた。尖った山容がかっこいい。
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新緑の美しい森を眺めながら進んでいく。
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稜線から下山路への分岐の所は間違って真っ直ぐに進まないようにロープが張られている。そのまま進むと「遭難捜索費用100万200万あなた持ち」になってしまうのだろう。
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ここから急斜面を下って行くが、落ち葉が堆積し滑りやすいのでかなり気を遣いながら木々に摑まって降りていく。かくし平まで来たら一安心でここからは間違う事もないだろう。
帰りは明神滝分岐から明神滝に寄っていく。下って行く途中で豪快で美しい明神滝が姿を見せた。新緑とマッチして一瞬息を飲む様な美しさである。
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滝壺の近くまで降りていく事が出来るので飛沫を浴びてマイナスイオンをたっぷりと吸収する。この滝は落差50mで滝口から滝壺まで遮るもののない直瀑で、奥の岩壁にさえ触れていない見事な滝である。
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下流の方を見るとシャクナゲが咲いていて新緑とのコントラストがキレイである。
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元の登山道に戻って下山を急ぐ。登山口近くまで下ってくると川の畔に休憩所の様な物が見えた。
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14:05無事登山口に着いて、先程見えた休憩小屋の方に行って見る。木橋を渡って川を渡る。
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ここは川上村所有の水源の森で、吉野川・紀ノ川の源流である。川の水は文句なしの透明度である。
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休憩所は火気の使用は一切厳禁とある。管理しているのは川上村かと思ったら財団法人「吉野川紀ノ川源流物語」となっており推測するに林野庁の天下り先ではないだろうか。何を管理されているのか判らないがこの自然は税金を投入しても守らなければならない国民の財産である事は間違いない。ただムダに使わない事を願うだけだ。
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車に戻ると、和歌山ナンバーのランクルがまだ停まっておりテン泊縦走でもされているのだろうか。結局今日は誰にも会うことは無く静かな山歩きが出来た。この山深い原生林の中に咲き誇っているアケボノツツジとシャクナゲは、時期が来ると咲いて時期が去ると散っていくという繰り返しを毎年自然の営みとして人知れず行って来たのだろう。知る人ぞ知る秘密の花園、そんな雰囲気の山であった。
※山岳雑誌「岳人5月号」に台高山脈の隠れたブナ林・馬ノ鞍峰と紹介されていたので今後登山客は増えるかもしれない。但し山と高原の地図でも(迷)マークが何箇所かあるルートなので入山される場合は十分な注意が必要である。と言っても地形図で先読みをしてのルートイメージの確認とテープ目印に注意していれば大丈夫だと思うが・・・。
by hawks-oh-muku | 2010-05-14 22:25 | 台高・大峯 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 産六 at 2010-05-16 07:42 x
素晴らしい山行でしたね。奇麗な新緑の谷とそれに続くアケボノツツジとシャクナゲ・・・。明神滝も迫力ありそうで、これはきっと人気コースになるでしょうね。いや、行ってみたいです。(願望のみに終わるかも、ですが)

こちらの記事をヒントに土曜日にカトラ谷の梯子を上がってすぐの二股を右に行ってみました。登り詰めて左手奥に30株ほど見られましたが、まだ花開いておらず白い蕾状態でした。右手の尾根に向かうと小径があってタカハタ道に出ました。
Commented by hawks-oh-muku at 2010-05-16 22:23
産六様こんばんは。
念願のアケボノツツジとシャクナゲが咲く馬ノ鞍峰に行く事が出来ました。
標高は金剛山と余り変わらず、標高差や所要時間も水越からのルートと変わらない山ですが、吉野川・紀ノ川の源流である原生林の森はとても山深く全く違う雰囲気でした。
アケボノツツジはもう終わりに近いと思いますが、シャクナゲはまだまだ蕾がありましたのでまだ楽しめると思います。
ただ夏場はヤマヒルが出るらしいので注意が必要な様です。

カトラ右俣の上部にはやはり山芍薬がありましたか!前回は天候と体調の加減で途中で断念しましたが、タカハタ道に出られるのですね。来週金曜日しか行けませんが、是非とも行って見たいと思います。情報有難うございました。
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